小特集 診療報酬請求審査を点検する
現在の診療報酬請求審査の実情
小島 靖
1
1小島医院
pp.485-489
発行日 1980年6月1日
Published Date 1980/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207167
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保険医を取り巻く情勢
80年代に入り診療報酬の2年間据え置き,5段階方式による大増税,健康保険組合連合会の医療費通知運動,不正告発運動,マスコミの医師に対する集中攻撃,患者の一部負担を増大させる健康保険法改正案の国会上提等,我々の開業保険医を取り巻く情勢は緊迫化してきた.また厚生省は昨年1月『保険診療適正化のための指導監査の推進』の通知を出し,指導監査の強化と医療費の"むだ"排除に積極的な姿勢を示してきた.
今までも全国各地で苛酷なまでの審査,監査が強化されてきたが,旧内務省以来の監査行政にみられた一罰百戒主義は昭和34年の監査旋風の中で数名の保険医の自殺者を出すという最悪の事態を惹起した.昭和35年の『厚生省社会保険指導監査に関する説示指示事項』は,国民皆保険体制に対応する指導監査の基本方針として『一罰百戒主義を改める』ことを指示しているが,20年経った今日さしたる改善はみられず,かえって不十分なまま発足した医療保険制度は,法的にも様々な矛盾を露呈している.
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