寄稿
慢性疾患病院の動向—R.J.Zonneveld著"The chronic hospital"を中心として
石塚 正敏
1
1厚生省薬務局企画課
pp.180-183
発行日 1980年2月1日
Published Date 1980/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207094
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近年における公衆衛生の進展ならびに医学の進歩は,感染症をはじめとする急性疾患の大部分を征服した.これに代わって注目を集めて来たのが,成人病・老人病に代表される慢性疾患であるが,これは平均寿命の飛躍的な伸びということにも大きく関係している.欧米諸国では慢性疾患対策がかなり以前から議論されてきたが,今や世界でも1,2の長寿国となり,欧米諸国の2,3倍の速度で老齢化社会へと突入する我が国においては,慢性疾患患者の問題は今後欧米以上に深刻なものとなるはずである.
慢性疾患患者に対するケアが,西欧先進諸国において今日ならびに将来の医学と福祉領域の大問題とされている背景には,高齢者に頻度が高くまた老化のプロセスでもある,いわゆる慢性変性疾患に対する病因論や予防・治療が確立されていないこと,就業不能の障害者を生む事故の増加,重度の先天奇型を有する小児が死亡せず延命可能になったことなどが挙げられている.
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