最近の判例からみた医療事故・9
交通事故に基づく被害者の脳機能障害をめぐる加害者と診療医の責任
稲垣 喬
1
1大阪法務局訟務部
pp.756-757
発行日 1978年9月1日
Published Date 1978/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206646
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判例
交通事故により傷害を受けた被害者(患者)が,医師の診療を経た後,症状が拡大ないし死亡するに至ったような場合には,加害運転者とその診療医師との間で,結果に対する責任の成否・限度をめぐって争いとなることが多く,因果関係の有無ともからみ困難な問題を提供している.本件は,右のような事例において,いわゆる植物人間となった原告が,衝突事故の発生ないし医療過誤を理由として,加害者と診療医の連帯責任を追及して損害賠償を求めたのに対し,裁判所が,加害者の責任を全部的に認めたが,診療医には過失がないとした事案である(札幌地裁昭52・4・27判決,判例タイムズ362号310頁).
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