問いかける沖繩・2
琉大病院の構想
鈴木 淳
1
,
大城 喜久次
1
1琉球大学保健学部
pp.114-115
発行日 1973年2月1日
Published Date 1973/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204927
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背景
戦前の沖縄は全国府県衛生状況比較で最下位群に属し,ことに伝染病罹患率は全国一であった.この状況に恐れをなして県衛生部長の希望者はなく,内務省は人選に苦慮したという.
戦闘下の受傷罹病の悲惨さはさておくとしても,収容所・バラック住居などの戦後の生活環境の悪化は伝染病をはびこらせ,ある島ではマラリヤで廃村となり,フィラリアは蔓延した.米軍は公衆衛生対策に力を注ぎ,なかにはマラリヤのようにWHO推奨の業績をあげたのもあり,全般的にも短い期間内に戦前の水準以上に復した.だが,琉球政府財政の乏しさもあって,慢性疾患対策は難渋し,いまもなお新発生の結核患者が年間2000名あまり登録され,性病患者は4000名を数えるし,精神障害者は本土の2倍と推定されている.
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