麻酔科医日誌・10
中国のハリ麻酔をめぐって
山下 九三夫
1
1国立東京第一病院麻酔科
pp.72-73
発行日 1971年10月1日
Published Date 1971/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204471
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中国のハリ麻酔 8月13日の朝日新聞に‘中国医学の奇跡——ハリ麻酔で脳手術’なる記事が載り,8月25日の同新聞には詳細な写真が紹介されてから,おりしも日中国交問題が注目されている矢先であることも手伝って,にわかに針麻酔が話題になってきた.
病院は上海第一医学院付属の華山病院という620床程度の総合病院というから,だいたい私の属している国立東京第一病院と同程度の規模である.患者のその1は50歳前後の男性で,治療用のハリは①両足の膝の外側(陽陵泉—腓骨頭の前下ぎわ,または足三里一膝を立て脛骨の外縁を擦上して指のとまるところ,膝蓋骨の上縁を拇指と示指で挾み,中指の先があたるところで,むかしの人が三里の灸をして旅立ったといわれる点),②膝の内側の少し下(地機—内踝の8寸上で脛骨後縁,または蠡溝(れいこう)—内踝の5寸上で脛骨内側面),③足首の前部(解谿(かいけい)—足関節前面中央)に各1本ずつ計6本打ってあり,足首のハリだけは看護婦がクルリ,クルリと回していたという.
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