新春にあたって 明日の医療に期待するもの
産業心理学による医療組織の精神的再編成を
堤 昭憲
1
1唐津赤十字病院検査部
pp.23-25
発行日 1968年1月1日
Published Date 1968/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203262
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自動分析装置や電子計算機が,医療の中で活躍する時代は,いまさら誰の予言もまたず必ず近い将来に必然的に訪ずれるであろう。文化の速度は幾何級数的に加速されるからである。ところが医療は,自然科学的分野における進歩の他の面で,いちじるしい後進性を有している。この点の改善が急務であるという点において,私は身近い明日の医療に期待したい。それは,医療の中の人間関係を中心とした,マネージメントの改善についてである。
機械化や自動化が進むといっても,医療は他産業に比較すれば,生産手段(?)の中枢において人の代りに精密機械で用を足してしまうことは,はるかに困難である。ここに医療集団成員のモラール(士気)が重要である根拠があるが,人為的要素が大きい医療が,あらゆる点で機械化が先行した他産業に比較して,はるかに産業心理学的な訓練が不足している点は残念である。
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