ホスピタルトピックス 特殊病院
Dijon精神病院
鈴木 淳
1
1厚生省病院管理研究所
pp.80
発行日 1967年11月1日
Published Date 1967/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203228
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パリーとリオンとの間・Dijonという駅がある。この辺はブールゴーニュ公爵の旧封土であり,独特の文化をもっている。昔は郊外,いまではDijon市内になっているLaChar-treuse-de-Champmolに近代精神病院が今年1月に竣工した。Char-treuseは美術史上と建築史上で有名であるが,精神医学的にも意義の深い場所である。1838年フランスの"精神病収容法"が制定され,これに基づいて当時の県当局はChartreuseの僧院を接収して350名の精神病者を収容し,以後1900年600名,1950年850名,現在1,150名と拡張されている。今回竣工したのはこの由緒あるChartreuse病院の敷地の一部にさしあたり230床の新棟であって,引きつづき,管理棟,社会センター,旧病棟の改装が予定されている。注目すべきことは,1963年8月27日の通牒により,一般普通の精神病院機能以外に,精神薄弱児(教育不能で白痴程度)収容の60床,精神症状合併の中枢神経疾患病床25床,成人精神薄弱者120床,老年痴呆120床の総計325床の特殊精神病床が予定されていることである。今回の新築分のなかにもアルコール30床が含まれている。県立精神病院の果すべき役割についてわが国でも議論されているが,このフランスの例は今後の方向を示唆している。病床区分の外に,本病院の機能は前後に伸びる。
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