特集 病院業務の委託・外注
外注問題の基本的考察
石原 信吾
1
1虎の門病院
pp.17-21
発行日 1965年9月1日
Published Date 1965/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202657
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1.「外注」の意味
自給自足経済は,経済発達史的にみれば原始的段階に属するといわれる。その意味からいって,消費場面にせよ生産場面にせよ,そこで必要とするものを,何でもかでも自分で作り出さねばならないとする考え方は,遅れた考え方であるといわなければならない。しかし,これは何も生活や生産に必要な「もの」を作るという場合には限らない。それに必要な「こと」をするという場合にも当然あてはまるはずである。
生活に必要な「もの」とは消費資材であり,生産に必要な「もの」とは生産資材であるが,今日のように交換経済の発達した時代に,それらの「もの」をみな自分で作らなければならないと考えるような人は,まずないであろう。「もの」についての場合はそうであるが,一方,生活に必要な「こと」,あるいは生産に必要な「こと」という問題になると,事情は多少異なってくる。人々の認識や考え方も,その点については必ずしも明確ではなくなる。それは「もの」の場合は手段的性格がはっきりしているが,「こと」の場合にはそこに目的々性格が加わってくるからである。そして,最終的には「こと」は,「生活すること」「生産すること」というように,それ自体がすべて目的というところにまで至る。
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