共同研究
小児病院の研究
永沢 滋
1
,
吉田 幸雄
2
,
大坪 祐二
3
,
浅野 秀二
4
,
若林 修
5
,
佐藤 孝三
6
,
西村 昉三
7
,
原田 政美
8
,
大久保 正一
9
,
斎藤 正行
10
,
小川 健比子
11
1日本大学医学部病院管理学
2病院管理研究所
3都立大久保病院
4国立東京第一病院小児科
5日本大学医学部外科学
6東京大学医学部整形外科学
7聖路加国際病院小児科
8東京大学医学部眼科学
9日本大学医学部病院管理学
10東京大学医学部臨床生化学
11病院管理研究所建築設備部
pp.23-31
発行日 1963年3月1日
Published Date 1963/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202073
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I.まえがき
諸外国では古くから小児総合病院が発達している。アメリカでは1854年にニューヨーク市小児病院,ついで1855年にはフィラデルフィア小児病院が設立され,つぎつぎに各地に小児病院が開設されるようになった。イギリスやソ連でも一般の総合病院には小児科がなくなり,子供は小児総合病院に入院している。こうなると小児のために特殊な設備も整えやすいし,教育も平行して行えるなど種々の利点がある。またその国が小児総合病院をもつことは小児科学の発展に寄与するところも大である。それは多くの小児患者が集中するからで,これによって専門医の養成も容易となり,小児看護独特の技術も修得しやすくなる。国連の児童権利宣言にも「児童はあらゆる状況において最初に保護救済を受ける」とあるが,小児の保護のためにも大きな前進である。
それなのにわが国には小児病院が一つもない。それはわが国の病院が歴史的に諸外国と違う道をたどり,病院が患者の生活の場としてではなく医師の診療所の大規模化として発達したからである。したがって病棟も診療科別(医師別)となり,看護を主として生活環境の類似した患者を集めて,それによって病棟を区分するという考えはおこらなかった。
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