--------------------
あとがき
吉田 幸雄
pp.390
発行日 1961年5月1日
Published Date 1961/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201803
- 有料閲覧
- 文献概要
春闘もようやく山を越え,まだ尾を引きながらも一応平静さをとり戻す気配になつて来ました。この間給与が相当引上げられた病院が多く,その財源としては,7月以降の社保診療報酬の値上げ分を見込み,とりあえずは積立金のなしくずし又は借入金で処理されている状態なので,それでなくても窮迫している病院財政には憂慮すべき事態に追込まれている。どうしても中央医療協議会が早急に成立して,少くとも政府が同意している引上げ財源が,確実に病院に流されなければ,病院経営は重大な危期に直面せざるをえない。
もう一つは,争議により職員の気分の荒廃が少くとも残るとなると,日常の運営に目に見えぬ能率の低下が生じて来ていることが想像される。これに対しては,院内PRをシツカリ行い,経営者の意志が第一線まで疏通し,モラールが調整されることが絶対必要である。そしてその障害になる問題は,この際断固解決し,病院内にシコリを残さぬ状態を早急につくらねばならない。それには,経営者自身の気分の一転がまず必要である。争議を通じ経営者側で不備であつた問題は誠意と積極的意欲をもつて此際早急に解決し,整備することが,院内の気分を建設的な方向に導く所以ではなかろうか。
Copyright © 1961, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.