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編集後記
小西
pp.56
発行日 1952年11月1日
Published Date 1952/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200564
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我が國が長期に亙る占領から解放されて丁度半年,總選擧も終つて新しく選ばれた國會並びに政府に占領行政の殘滓を拂拭した清新な政治が期待されている。國際關係の微妙な今日,獨立國家と稱しても程度の差こそあれ何らかの制約や義務を荷せられることは,今日世界の大多數の國家が兔がれ得ない運命にある。併し我が國では,過ぐる半年の間に,所謂修整と稱する逆コース現象がはやいくつか現出している。かかる傾向は,今後とも更に助長されるであろうことは想像に難くない。保健衞生關係は,占領期間中にいくつかのエポツクメーキングな業績を擧げたが,連合軍の後楯がなくなつた今日に於ては,勢力均衡の變動によつて樂觀を許さぬようになつている。厚生省や府縣衞生部の存在すら一時は危殆に瀕した事實に徴しても,將來とも全く安心する譯には行かぬ我が國の現状である。この邊の趨勢については,新政府の動向を我々は嚴重に見守る必要があろう。
この間にあつて,病院問題については愈各方面の關心が昻まりつゝある情勢にあることは御同慶に堪えない。大學病院の改革も遲蒔乍ら徐々に具體化せんとする趨勢にあるし,我が國の病院問題も愈核心に觸れて來たのを感ずる。近代病院の使命が漸次民衆に理解されようとしているのも心強い。併し病院内の具體的な問題となるとまだ未解決な分野が少くない。
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