アメリカ便り
生活標準
島內 武文
1
1病院管理研修所
pp.94-95
発行日 1952年6月1日
Published Date 1952/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200500
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生活の程度の高い事は,Engelをまつ迄とない。電氣冷藏庫,中央暖房,給湯設備,ラヂオは,大體日常必要品の中に入り,自動洗濯機やテレビジヨンがどんどん普及しつつある。屋根の上に珍妙なかんざしかタオル掛けの樣な複雑なアンテナがあるのが大體テレビのある家だ。何處の家へ行つてもよく臺所をみせてくれる。(面白いもので,多くの所謂Stand式の簡易食堂等では目の前で料理をするのに,支那料理や日本料理屋はやはり奧の方で料理をしている。料理方法の關係もあるかとも思われるが,それだけ人手もかかり時間をとるわけで,面白い對照だ)臺所の機械化は大したもので,あまりひろくはないが,冷凍庫,冷藏庫,洗濯機,授機,罐あけ機,皿洗機,ガスレインヂ,天火等が整然とならび,戸棚や流しを入れて,流れ作業式に配置されて,主婦は化學の技師か電氣技師である。この樣な機械化は停電つゞきの日本では第一お話にならない。けれど,臺所というものをもつと明るい,家に見せられる樣なものにしたいものである。これもLady-firstの主婦の發言權の大きさと,女子の教育に關係があるだろう。日本で取入れたい事は客のもてなし方と訪問し,食事をもらつて長々と話すのが日本では多く,時には話しはしなくとも主婦は引込んで食事やたべものの心配ばかりしてゐる。食後忙しくなる都會生活では,なるべく訪問時間をきめるか,約束する事として,食事を出さぬ事としたらよいと思う。
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