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理想的の結核病床數
宮川 米次
1
1東生病院
pp.17
発行日 1951年6月1日
Published Date 1951/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200333
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開放結核患者數,肺結核の感染源を閉鎖するには,開放結核患者數を知り,これに對處することが極めて大切なることは申すまでもない。Krügerが年間結核死の10倍を要治療者數だとなし,入院治療を要するには,年間結核死數に相當する病床數が必要だとし,本邦に於てもせめてこの數に相當する病床數を得たいと努力しているようだ。我が國の現状は,その要求をようやく半分位しか滿たしていない。例えば昭和23年の年間死亡數は145,000人,病床數は62,000しかない。現在はこれよりなにがしよくなつたことであろう。筆者は,このKrügerの提稱は今日改定しなくてはならぬものだと信じている。それは,自己の經驗と世界の結核豫防對策の變化からである。
筆者の經驗,川崎市の某大工場の從業員について,春秋の定期健康診斷をなし,必要と思う場合はレ線直接撮影,喀痰檢査等々によつて,要治療者は從業員の15%前後にある。その中に開放結核が10%強にあることを知つて,非常に驚いている。本邦の工場勞働者をかりに500萬人とすると,75萬人が要治療者となり,その中開放結核が少くとも75,000人があるということになる。
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