--------------------
アメリカ便り—第5信
守屋 博
pp.25-30
発行日 1951年2月1日
Published Date 1951/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200278
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ニューヨークの病院
此の二週間はニューヨーク,ニューヘブン,ボストンと,所謂,傳統をほこる,東海岸,ニューイングランド地方を廻つたので手紙を書くのもついサボつてしまつた。ホルチモアのジヨンホプキンで面白いと思つた事は,院長直屬のPublic Relationと云う係があつて,活動していることであつた。本來は,こちらの病院は,寄附でなりたつているから,それを集める爲に病院は常にそういう人々の關心をひかねばならぬから次々と活動しなければならぬ。新聞,ラヂオ等を活用しろとジヨンソン大佐が云われたのはここの所だと思つた。ジヨンホプキンスではその他に,例の動物愛護運動が盛で病院の動物實驗を禁止しようと云う理です。州知事の選擧にもこれを政策にかかげているのがある様な始末で病院としては,一生懸命に反對運動をやつているわけです。幸に,その樣な説は大衆の支持を得なくてよかつたです。次には毎週,キリスト教の牧師を90人も集めて,各科の先生が色々と醫學の話をする會をもつているそうだが,それは,解剖をすゝめられた患者は必ず牧師に相談に行くからだそうです。そのために,此の病院では95%の解剖率をあげているそうです。
ニューヨークは,誰でもがする樣に,名所見物を一通りやりましたが,どこへ行つても,寫眞か映畫で見た事のある所ばかりで少しも珍らしい所はありません。
Copyright © 1951, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.