特集 産業は病院市場をどう見るか
医療関連産業の経営状況
遠藤 邦夫
1
1株式会社矢野経済研究所 医療事業戦略部
キーワード:
共生
,
技術革新
,
効率化
,
代替機能
,
事業集約化
Keyword:
共生
,
技術革新
,
効率化
,
代替機能
,
事業集約化
pp.378-384
発行日 2009年5月1日
Published Date 2009/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101444
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今,多くの病院は経営状態が悪化の一途をたどっている.それは,度重なる診療報酬のマイナス改定,医療制度改革,国の地方自治体への財政支援見直しなどの影響を受け,疲弊の度合いが高まっているからである.さらに,このような状況下にあって病院間の経営格差が拡大している.早い段階に自院の進むべき方向性を決め,基礎的基盤整備の努力を行ってきたところは,赤字経営に陥る病院とは対象的に一定の収益を確保できる体制を持続している.
また,厚生労働省は数年前から診療報酬改定時に「医療の質の向上」ということを掲げるようになった.医療の場合,「医療の質の向上」ということは新たに費用が発生することがあり,潤沢な資金を持ち合わせていない病院にとって,頭の痛い問題となっている.特にIT化の波は病院にも押し寄せており,経営状態が厳しい状況下でのIT投資は病院経営者にとって頭の痛い問題である.しかもこの投資は,「医療の質の向上」に結びつく面も多々あることから,いつまでも投資を控えることができにくい状況となっている.
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