特集 社会保障・税制改革と医療
環境税は社会保障の財源になりうるか
竹内 恒夫
1
1名古屋大学大学院環境学研究科
pp.903-906
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100409
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環境税には,さまざまなタイプがあるが,大きく分けて,①二酸化炭素の排出削減などの対策財源を政府が確保するためにガソリンなどに課税するもの,②ガソリンなどの価格を引き上げることによって二酸化炭素の排出削減を促すためにガソリンなどに課税するもの,がある.
①のタイプの典型は日本の環境省の環境税案.一昨年,昨年と自民党税制調査会に要望したが,実現されていない.昨年の案では,3,700 億円の環境税収を,森林整備・建物断熱・新エネルギーへの補助,自治体の温暖化対策への譲与,そして,温暖化対策設備投資減税の財源とするというもの.このタイプの環境税は,数千億円規模の対策設備投資などをすれば,二酸化炭素は相当程度削減されるという考え方に立つものであるので,税率・税収は比較的小さく,また,税収を環境対策以外に充当することは前提にはしていない.したがって,このタイプの環境税は,社会保障の財源にはならない.なお,現在,法定外目的税として,24 府県で導入されている産業廃棄物税,また,10 県で導入されている森林環境税の税収は,いずれも,リサイクル施設,森林整備などの対策財源に充当されており,この①のタイプの環境税に分類される.
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