FORUM フォーラム ふぉーらむ
街角で
濱岸 利夫
1
1石川整肢学園リハビリ科
pp.719
発行日 1986年10月15日
Published Date 1986/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103663
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過日,ある病院前でバスを待っている時のことである.脳血管障害によると思われる片麻痺患者が,ゆっくりと病院の正門から出て来た.バスが来るまでの間,他の客たちと同じように待っていたのであるが,いざバスが来てからのことである.扉が開くと,客たちはいっせいに乗り始めた.ところが,その片麻痺患者はバスに近づこうとするのだが,足元には歩道と車道とを区分する約20~30cmくらいの段差があり,杖をついているにもかかわらず足を降ろすことができず,なかなか車道へ降りることができないのである.一見して健常者にとっては何でもないような段差が,身体障害者にしてみれば,それを乗り越えることが非常に難しい場合がある.しばらくして,その人は段差の一番少ない所を選んで,何とか車道に降りることができたからよかったものの,転倒し,揚げ句の果てにはバスが発車しようものなら一大事のはずであった.
以上のような些細な出来事ではあるが,次の三点が疑問として考えられる.
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