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Ⅰ.はじめに
大阪府立中宮病院の作業療法(OT)は表1に示したように長山ら3)によって始められたが,その後病院の老朽化が進んだこともあり,OT,レクリエーション療法,リハビリ活動等,新しい精神医療を推進するために,昭和39年度から病院の全面改築が行われ昭和42年度末に完工し,昭和43年には表2のように機構が改められて,OT部門はレクリエーション部門と共に活動旗法科として医務局の中に位置づけられた.この年に作業療法士(OTR)が採用され,OTの形態としては,患者(Pt)が作業療法棟へ出てきてOTを受ける,いわゆる中央制が確立された.
なお,表2の中でリハビリ科はリハビリ病棟を拠点にして病棟スタッフに加えてケースワーカー(PSW)が関与し,院外作業(外勤)や独自の社会復帰訓練プログラムを実施しており,活動療法科は院内作業原法を担当していた.もっとも最近では外来患者もOTに参加している.またリハビリ科はリハビリ活動の停滞に対応するため新たに,医師(MD),ケースワーカー(PSW),外来の看護職員(NS),OTR,心理(CP)等のスタッフで構成するリハビリユニットを設置し,地域サービスを進めようとする動きを示しつつある.なお,精神療法科はいわばMDの管理職ポストとして存在しており,その部長は精神療法とは関係のない業務を担当している.
以後17年が経過し活動療法科OT部門は8名のOTRと3名の常勤OTAおよび7名の非常勤OTAを擁するに至った.彼等は作業療法棟内にデスクを持ちOTを実施しているが,OTとは何か,OTRは何をしており何を目指しているのかよく分らないという声が看護職員をはじめPSWやMDなどの問に存在し続けている.
もっとも,表1で示したように昭和55年から,隔月に活動療法科連絡会を開催し,各病棟からNSが更にPSWやMD等が参加しているし,毎月「活動療法科だより」を発行しているのであるが.
我々はこのような状況を打開していく取組みの一環としてパネルディスカッションを開催した.この討論会には約70名のスタッフが参加し3時間にわたって討議が展開された.
討議内容は病棟勤務NSとOTRとの間のコミュニケーションに関することが中心であったが,当院のOTをめぐる諸問題がかなり明確になった.
これらは,単に当院のみならず,わが国の精神病院におけるOTやOTRに関し一般的に存在する内容であると思われるので,若干の考察とその後の経過を加えて紹介してみたい.
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