とびら
理学療法士のidentity
高橋 正明
1
1都立府中リハビリテーション専門学校
pp.505
発行日 1979年8月15日
Published Date 1979/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101954
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理学療法士養成校に従事していると,自分の理学療法士としてのidentityが次第に脆弱なものになっていくような気がする.臨床に携わる時間が少なく,体験によるidentityを維持できにくいことも一因ではあるが,それに加えて教育の場では理学療法士としてのidentityを理念や学問的体系・枠組といった概念的なものに求める必要性が高いため,理学療法の業務的内容を吟味し,共通点を見出し,統合させようと試みているうちに,何をもって理学療法士の仕事と言わしめているのか分からなくなってしまうのである.
理学療法士は一般的に,理学療法士としてのidentityとリハビリテーション医療へのidentityを持っている.臨床の場でこれら2つのidentitiesを満足させるような仕事ができると何とも心持が良い.理学療法の効果があり,かつ患者が十分自立できた場合である.一方,治療訓練の効果が上がっているにも拘わらず患者が社会に受け入れられないと憤りを感じ,逆に理学療法の効果が上がらなくても病院外での有意義な生活が保証されると何かホッと安心するものである.
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