Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
体表の皮膚軟部組織の欠損は一次的な縫合閉鎖が不可能であれば遊離植皮術や皮膚弁作成術により再建される。しかし顔面のように外観が重要視される部位の再建では,再建に使用する組織の肌目や色調が重要である。そのような肌目や色調の問題は再建を施行する部位の近傍もしくは対側の組織を使用しての再建術によってのみ解決可能である場合が多い。そして鼻部の再建に限ると,対側の組織を使用しての再建ということは実際問題として困難である。したがって鼻部において満足しうる外観を得るためには,可能ならば近傍の組織を再建に使用することが望ましいといえよう。しかしながらその場合手術操作が顔面の正中部の醜状が目立ちやすい領域に集中する。近傍の組織を移動させるには局所の皮層弁(以下,皮弁と略)とすることが一般的であるので,その皮弁を挙上し移動した後の欠損をさほど醜状を残さず閉鎖できることが必要である。
以上の条件を満たす手術として,Rieger1)は1967年に鼻背皮弁を発表し,1985年にはMarchacら2)が皮弁の血行の観点から鼻背皮弁の再評価を行っている。一方われわれも以前より鼻部の創閉鎖において本法を施行しその有用性を確認している。そこで本法について手術手技の実際を供覧するとともに若干の考察を行いたい。
Since Rieger's first report in 1967, the dorssal nasal flap has been performed in many institutions and its technique has been refined. We also prefer this method, and we described its surgical technique in a typical clinical case.
The best indication of this method lies in the reconstruction of the skin defect of the lower half of the nasal dorsum and/or the nasal tip.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.