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Ⅰ.はじめに
結核の化学療法の開発されるまで,上気道結核はその末期的症状の一つとして,きわめて悲惨であり,わたくしどもはただ手をこまねいて,死をまつという状態であり,その数も多く,日常の診療においても頭を悩ましていたわけである。実際その頃,肺結核に咽喉頭結核の合併した場合,予後の最悪を判定しても,ほぼ誤なかつたことをしばしば経験している。しかし化学療法の発現以来,肺結核による咽喉頭への合併はきわめてまれであり,たとえ合併しても,速かに治癒の状態をもたらし,最近では咽喉頭結核は日常診療に忘れられた憾がないでもない。したがつて最近の専門医はただ成書の記載により知りうることが多く,その記載も定型的病態の記載にとどまり,変貌しつつある様相についてはあまり触れられていない。ことに臨床的所見よりただちに咽喉頭結核と診断しうる例は少なく,肺結核との関連において,それに対する疑診をうることが多い。
わたくしどもは咽喉頭狼瘡と考えられる2症例を経験し,その概要を述べ,あわせて咽喉頭結核の推移,ならびにその様相について触れてみたい。
Two cases of pharyngo-laryngeal lupus are reported; both cases were woman, aged 15 and 38 respectively. Both cases failed to show any subjective symptoms and no sign of tuberculosis was recognized. Recent chan-ges in the physical signs of laryngeal tuber-culosis are discussed in the paper.
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