文献紹介
皮膚糸状菌の免疫学的活性物質 第2報,他
pp.263
発行日 1966年4月1日
Published Date 1966/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204328
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第1報にて報告した如くに星芒状菌菌糸および培養炉液よりえたトリコフイチン活性を有する22種の純分劃を加水分解し,紙クロマトグラフイーにより更に分析した。この結果,分劃の大部分はペプチッドを含む多糖類か又は糖を含むペプチッドより構成されることが分り,又菌糸から2種のリボ核酸,炉液から5種の単純ペプチッドと1種の単純多糖類が抽出された。これらの分劃を構成する糖としては葡萄糖が最も多く,マンノーズ,グルコサミン,リボーズがこそにつぐ。ペプチッドのアミノ酸としては,全分劃からセリンとグルタミン酸が分離され,グリシン,アラニン,ロイシン,バリンも普通に存在するアミノ酸であった。実験的に白癬に感染させた兎におのおのの分劃を皮内注して反応の大小を比較して,おのおのの抗原活性を比較検討した。この結果,抗原性はペプチッドを含む多糖類>糖を含むペプチッド濾単純ペプチッド≑リボ核酸(又はoligoribonucleotide)>単純多糖類の順に大であつた。以上のことから,トリコフイチンの主たる活性物質はペプチッド—多糖類複合物と思われ,この結論は,活性物質は窒素を含む多糖類であるという考えを裏づけるものであるが,やはり複雑なものと思われる。10種の分劃に関し沈降反応をおこなつたがこの結果はおのおのの皮内反応の結果とは必ずしも平行しなかつた。
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