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I.緒 言
本症は1904年Möller et al1)が2年来膿疱性の第II期梅毒疹様の皮疹を認め,それが段々とPityriasis lichenoides chronicaまたはParakeratosis variegata様の皮疹に変化した症例を経験し,Darmatitis nodularis psoriasiformis(Jadassohn)s. Parapsoriasis(Brocq)として初めて報告した。次いで1916年Mucha2)は19歳兵士に10日前より丘疹,小結節に落屑または中心痂皮を形成した症例をÜber einen der Parakeratosis variegata(Unna)bzw. Pityriasis lichenoides chronica(Neisser-Juliusberg)nahestehenden eigentümlichen Fallと題して報告した。その後同様な症例の報告が相次ぎ,1921年Rusch3)は18歳の女子に4週間来丘疹または結痂を来し自然に瘢痕治癒した症例が臨床的にも組織的にもMuchaの報告と一致することよりPityriasis lichenoides chronica(p.l.p.と略す)の異型と考えPityriasis lichenoides acutaと呼んだ。1925年Habermann4)はp.l.c.に水痘様の変化に更に淋巴腺腫脹を伴い,3〜4週間の経過で瘢痕治癒した2例を経験してPityriasis ichenoides et varioiformis acuta(p.v.l.a.と略す)と命名した。しかし従来p.l.c.とParapsoriasis en gouttes(p.g.と略す)はと同一視されて来たことよりWiseはParapsoriasis varioiformisと呼んだ。その後本症は種々の名称で呼ばれている即ち急性類乾癬,Mucha氏病,Mucha-Habermann氏病,Mucha氏水痘状類乾癬,最近独乙ではPityriasis ichenoides acuta partim hemorrhagica et necroticansまたはPityriasis ichenoides chronica ac vaioiformis acutaの名でも報告されている。本症は欧米では多数報告されているが本邦では深井5)の第1例以来桜根他6),古谷他7)出村他8),田中9),竹中他10),新野11),年名12),松岡13),熊谷他14)の報告をみるが計11例を数えるに過ぎない。最近著者は1例を経験したので報告すると共に文献的考察を試みた。
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