紹介
乾癬/扁平苔癬の治療
pp.43,51
発行日 1962年1月1日
Published Date 1962/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203204
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Ticknerは莫大な文献を引用して"乾癬は最も研究された皮膚病である"といつたが,実地上役に立つことは甚だ少ししかわかつていない。脂肪代謝障害は古くから研究対象となったが,Enticknap et al.によれば10種の脂質の血中値は始めから正常であつた。乾癬鱗屑の燐脂質含有量が高いことも指摘されたが,脂漏性皮膚炎においても同程度に高い。燐脂質の存在を正常角化のための利用が行なわれないからと説く人もあるが,かかる作用の酵素は発見されていない。組織化学的にSH群の過剰が証されたが,これは乾癬に特異なことではない。乾癬鱗屑中の全硫黄量が大であるといわれたが,紫外線を照射した健常皮膚においても類似の値が得られる。放射性硫黄を乾癬患者に与えると,硫黄は発疹において正常皮膚より遅く出現して長く持続する。このことは乾癬において表皮の発育が促進されているという考えに反する。Fleschはアルギニンが乾癬鱗屑において増量しているというが,他の人は紫外線照射による鱗屑中のアミノ酸構成と同様だという。乾癬鱗屑にはアルギナーゼが増量していて,この酵素は尿素を合成する。しかしかかる鱗屑はアルギナーゼ抑制物質を有すると思われる。Roeは3種の蛋白(A,B & C)を乾癬鱗屑から分離した。
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