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有熱性急性疱瘡の1例
出來 利夫
1
,
有本 弘三
2
1和歌山県立医科大学皮膚科泌尿器科教室
2和歌山県立医科大学外科教室
pp.232-235
発行日 1954年4月1日
Published Date 1954/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201189
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緒言
有熱性急性天痘瘡は稀な疾患で本邦にては現在迄に約10例が報告されているに過ぎない。本症は急激に悪寒と共に高熱を発し紅斑上或は健康皮膚上に水疱を生じ,之が為に膿疱化或は出血性となることか多い。水疱は容易に破れて糜爛面を呈し後に表皮形成を見るが経過は急速で豫后は比較的不良である。本症の原因に関しては種々の説が挙げられているが現在では感染によるもの或は中毒性のもの等の敗血症様の皮膚症状と考えられている。以前は尋常性天疱瘡の急性型と混同せられている場合も存したがこれは厳格に區別せらるべきものである。然し初期に於て臨牀上區別の困難な場合も存する。我々は最近肺結核で入院加療中虫垂炎に罹患,虫垂切除術后直ちに本症を発し,ストマイ,ペニシリンにて無効にしてオーレオマイシン,輸血,強心剤等により治癒せしめ得た症例を経験したので報告する。
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