泌尿器科圖譜・10
發育不全腎
鈴木 三郎
1
,
宮坂 知治
1
,
沼田 良七
1
1慶大泌尿器科
pp.51-52
発行日 1952年2月1日
Published Date 1952/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200664
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患者29歳♀,初診,昭和25年2月21日,主訴,右腎部の疼痛,昭和24年3月頃,時折右腰部から大腿に及ぶ疼痛があつた。10月頃には疼痛は背部右側にも放散すると言う。25年2月29日右側腹部の疝痛發作のため入院した。
右腎は壓痛のみで觸れず,左腎は吸氣時に僅に觸れるが壓痛はない。尿清燈,酸性,蛋白(−),糖(−),赤血球(−),白血球(−),細菌培養(−),水試驗正常。膀胱鏡所見,兩側尿管口正常,インヂゴカルミン排泄(2回施行)左正常,右10分以上排出がない。左腎尿正常,右腎尿は2回共に滴下がない。逆行性及排泄性腎盂像,氣腎法によつて左腎正常,右腫瘍像を疑う所見が1部に感じられた。剔除腎,腎上極4房,中央部單房の嚢胞を持つ7×5×1.5cm,359の腎で嚢胞内容は10c.cであり,腎前面はかなりの癒着を伴つている。腎動,靜脈は線香大で尿管は正常よりも細い。組織上では腎盂腎杯粘膜下に炎症像なく,腎實質は稍々浸潤がある,細尿管は硝子樣物質によつて管腔の壓迫をみる。皮質は荒廢して絲毬體に多數の硝子樣物質を認め細尿管の大部分が破壊されている。被膜は肥厚し,動脈内皮の肥厚が目立つていた。
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