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陰嚢膿瘍
岡 直友
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1名古屋市立女子醫專皮膚泌尿器科
pp.156-157
発行日 1947年5月1日
Published Date 1947/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200040
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緒言
成人の陰嚢の皮膚は非薄皺襞性で皮脂腺多く,分泌に富み,濕潤しやすい所で,從つて皮垢が多く,また從つて濕疹,皮膚炎,殊に寄生性皮膚炎が發し易い。又第二期黴毒疹の好磯部位とされるがこれらの炎症はいつれも表在性のものである。深在性の炎症には象皮病の或もの,稀に木樣蜂窩織炎が記載せられ,急性侵蝕性變化として陰嚢壌疸が學げられる。しかし以下の症例にみる様な,急性の膿瘍を單獨に發することは稀なるもののやうで,余が手近に渉獵した文獻にはその記載が見當ちない。蓋し毛嚢の少いこと,汗腺の少いことは,他の體部皮膚面に比べて.皮膚膿瘍を誘發すべき状態の發現を招來する機會を少なからしむるに因るものと考察せられる。陰嚢の膿瘍が副畢丸炎,殊に結核性副睾丸炎に續發して寒性膿瘍としてみられ,又尿道周園膿瘍として登生するやうな二次的のものはここに述べる範團外である。余は最近引績き5例の陰嚢膿瘍の症例を得て興味を覺えたので,之を記して諸彦の御教示を賜りたいと思ふ。
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