特集 STA-MCAバイパス術—日本が世界に誇る技を学ぶ
Ⅳ各病院におけるSTA-MCAバイパス術の工夫 Short Topics
小田原市立病院におけるSTA-MCAバイパス術の工夫—通常の開閉頭術におけるSTA,OA再建の有用性:若手教育の観点から
山中 祐路
1
1小田原市立病院脳神経外科
pp.882-884
発行日 2022年7月10日
Published Date 2022/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436204642
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1.はじめに
脳動脈血行再建術において,浅側頭動脈(superficial temporal artery:STA)や後頭動脈(occipital artery:OA)の剝離による術後の皮膚の血行障害が問題になることがあるが,通常の開頭術においても高齢や糖尿病など創傷治癒に不利な条件下では,STAやOAの凝固離断による皮膚の虚血耐性低下が起こり得るため,理想的には血行再建に努めることが望まれる.
上記観点より,当院では血管障害や腫瘍摘出術などの通常の開閉頭術においても,将来的な頭皮血流環境の温存を目的に可及的にSTA-STA端々吻合,OA-OA端々吻合を施行してきた.これにより頭皮動脈の再建が得られ,創傷治癒促進,感染予防,特に高齢者での遅発性皮膚菲薄化防止などの有益性が高いと考えている.また副次的な意義として,若手のバイパス手技の技能習得,修練の効果も期待できる.本稿では,若手教育に焦点を絞り上記手技につき述べる.
*本論文中、[Video]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2025年8月まで)。
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