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編集後記
貴島 晴彦
pp.290
発行日 2020年3月10日
Published Date 2020/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436204178
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本号の扉では,井川房夫先生が「医師の働き方改革,高齢化と今後の変化」と題して,医療を取り巻く社会の変化,特に高齢化の問題を取り上げ,さらに,人工知能に期待する未来を展望されている.働き方改革は,医療分野だけでなく多くの労働環境で叫ばれている課題であり,「多様な働き方を選択できる社会の実現」を目指すものであるとされる.医師の働き方改革は,方法であって目的ではないと思う.目的は豊かな社会生活の実現であり,働き方改革がどのようにわれわれの豊かな社会生活につながるのかを考えなければならない.ところで,「豊かな社会生活」とは一体何なのか.家族と多くの時間を過ごすこと,友と宴をもつこと,趣味を広げること,スマホでゲームに没頭すること,夜はコンビニが閉まっていること,給料が安くなること,出世がしにくくなること…….働き方改革のその先にあるものを想像してみたいと思う.
その他,総説では鈴木康之先生から「小児脳神経外科の麻酔管理」について,小児の特性を理解し,管理することの重要性を詳細に記載していただいた.川村強先生からは「脳神経外科領域における漢方薬の使い方」という題で,とっつきにくいと思われがちな漢方薬を身近にもってきていただく論文を頂戴した.また,連載「脳神経外科と数理学」の第3回「グラフ理論」では,下川哲也先生に,脳内ネットワークの理論の背景から最近の脳機能解析の理解につながるように,極めてわかりやすくまとめていただいた.このように本号では,少し門外漢であっても世界観が広がる素晴らしい論文が掲載されている.
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