扉
万類共尊の地球と動物実験
中村 紀夫
1
1東京慈恵会医科大学脳神経外科
pp.587
発行日 1987年6月10日
Published Date 1987/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436202416
- 有料閲覧
- 文献概要
去る11月13日の夜,突然居間の電話がけたたましく鳴った.知り合いの新聞記者からである.「明日の朝刊に先生の動物実験について,非難する報道がでますよ」.電話の主は記事を書いた人ではなく,私に対して好意的であったが,これが今回の騒動のプロローグであった、翌14日の某新聞に「サルをコンクリート壁にぶつけて殺す生体実験が行なわれていたことが発覚し,国の内外から批判されている」という記事がセンセーショナルに報道された.
この記事は,実験を行なった私たちに対しては全く取材がなく,米国国際霊長類保護連盟が発行しているNewsletterに掲載された報告を引用したものであったが,入手したNewsletterをみるとその記事自体が推測をまじえた誤解から書かれているので,新聞報道もまた施行されていない実験方法だけを残虐に目立たせる誤った報道になっていた.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.