先達余聞
James L.Poppen
牧野 博安
1
1千葉大学脳神経外科学
キーワード:
J.L.Poppen
Keyword:
J.L.Poppen
pp.1098-1101
発行日 1981年8月10日
Published Date 1981/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436201391
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私の半世紀にもわたる人生行脚のうちの1/4世紀はいわゆる外科系の修業であった.その間にいろいろの手術を実際に見学し,一緒に手術のお手伝いをさせていただいたが,本当に手術が上手で,全くの練達の士と思った人は3人しかいなかった.最近では手術法そのものが緻密となり,その上,麻酔・管理法が発達したため,手術そのものを手速くしかも要領よく行う必要がなくなってきたので,見た眼にも華麗な迅速な手順を踏んだ手術法は必要ではなくなった,であるから昔の本当に庭しい芸術を思わせる手術は見られなくなったのではなかろうか?一部の例外を除いて,迅速な脳神経外科はかえって危険視される趨勢にあるように思われる.3人の練達の士とは,中山恒明教授,Dr.Richard B.CattellとDr.James L.Poppenである,このなかでDr.Poppenは唯一の脳神経外科医である,しかもmicrosurgeryは全く行っていなかったので,macroneurosurgeonである.
Dr.Poppenはもともとはオランダからの移民の子孫で,シカゴのRush Medical Schoolの出身である.Dr.Oldsbergの下で1-2年脳神経外科の手ほどきは受けていたが,Lahey Clinicに来たときは,一般外科,胸部外科そのものに興味を有していて,脳神経外科にはあまり関心がなかったようである.
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