コラム:医事法の扉
第51回 「未破裂脳動脈瘤」
福永 篤志
1
,
河瀬 斌
2
1国家公務員共済組合連合会立川病院脳神経外科
2慶應義塾大学医学部脳神経外科
pp.682
発行日 2010年7月10日
Published Date 2010/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101218
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今回から各論としまして,脳神経外科領域の疾患ごとに判例を検討していきたいと思います.
未破裂脳動脈瘤は,術前は無症状の場合が多いため,術後に何か問題があると,手術が悪影響を与えたと疑われ,紛争化しやすい傾向があります.とはいえ,破裂する危険を考えると,手術を勧めたほうがよい場合もあります.そのバランスが難しく,脳神経外科医にとって,最も注意しなければならない疾患の1つであるといえるでしょう.平成元年からの医療過誤訴訟をみると,未破裂脳動脈瘤の事例は,平成12年から提訴され始め,患者側のさまざまな主張のうち,医療側の「手術・検査手技の過失」や「説明義務違反」などが裁判所に認定されやすいことがわかっています1).
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