Japanese
English
解剖を中心とした脳神経手術手技
経シルビウス裂到達法による選択的海馬扁桃体摘出術―手術法および手術成績について―
Surgical Technique and Outcome of Transsylvian Selective Amygdalohippocampectomy
森野 道晴
1
,
宇田 武弘
1
,
内藤 堅太郎
1
,
川上 太一郎
1
,
石黒 友也
1
,
石橋 謙一
1
,
寺川 雄三
1
,
一ノ瀬 努
1
,
原 充弘
1
Michiharu MORINO
1
,
Takehiro UDA
1
,
Kentaro NAITO
1
,
Taichiro KAWAKAMI
1
,
Tomoya ISHIGURO
1
,
Kenichi ISHIBASHI
1
,
Yuzo TERAKAWA
1
,
Tsutomu ICHINOSE
1
,
Mitsuhiro HARA
1
1大阪市立大学院大学医学研究科脳神経外科
1Department of Neurosurgery,Osaka City University Graduate School of Medicine
キーワード:
epilepsy surgery
,
temporal lobe epilepsy
,
selective amygdalohippocampectomy
,
neuropsychological outcome
,
surgical approach
Keyword:
epilepsy surgery
,
temporal lobe epilepsy
,
selective amygdalohippocampectomy
,
neuropsychological outcome
,
surgical approach
pp.225-233
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100041
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Ⅰ.はじめに
難治性側頭葉てんかんの外科治療において前側頭葉切除による海馬扁桃体摘出術(ATL)が最も標準的に行われているが,一方では側頭葉内側焦点を選択的に摘出するために多種の到達法が報告されている7,10-13,16,18).選択的海馬扁桃体摘出術の最初の報告は1958年のNiemeyerの中側頭回経由の経皮質到達法である11).その後,Yasargilら18)が経シルビウス裂到達法による選択的海馬扁桃体摘出術(TSA)を発表した.最近では上側頭溝12)あるいは下側頭溝10)経由の経皮質到達法,側頭葉下窩到達法7,13),TSAの変法16)などが報告されている.しかし,これらの選択的海馬扁桃体摘出術とATLの術後の発作予後については大きな差はなく,また左側頭葉てんかんについては選択的に海馬扁桃体を摘出しても術後に言語性記銘力が低下するという報告3)があり,側頭葉内側部に焦点が存在する症例に対しても選択的海馬扁桃体摘出術が絶対適応になっていない.選択的海馬扁桃体摘出術のなかでもTSAはシルビウス裂を末梢まで大きく開放する必要があり,また手術操作によって中大脳動脈にspasmを来す可能性が高いことなどにより,敬遠される傾向にある.しかしながら当施設では2001年よりTSAを行い,発作予後および術後の高次機能について良好な結果を得ており,非常に良い手術法と考えている.そこで本稿では代表症例の術中写真を提示しながら本手術法の要点と発作予後および術前後の高次機能を含む手術治療成績について述べ,TSAの有用性について報告する.
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