Japanese
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特集 てんかん
自律性てんかん—正しい概念規定を中心として
Autonomic epilepsy
下田 又季雄
1,2
Y. Shimoda
1,2
1鳥取大学医学部脳幹性疾患研究施設臨床生理部
2鳥取大学附属病院脳神経内科
1Dept. of Clinical Physiology, Research Institute of Brain Stem Disorders, Tottori Univ., School of Med.
pp.677-694
発行日 1968年10月25日
Published Date 1968/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904536
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I.まえがき
てんかんの定義,分類は古典的にははなはだ明瞭であつたが,ごく最近までその本質とくに発作発現の病態生理はまつたく不明であつた4,39,40)。1929年H.Berger教授の脳波発見にひき続いて臨床脳波学の発展は,在来蓄積されたてんかんの臨床経験上の諸事実の解明に著しい進歩をもたらし,発作発現病態生理が明らかとなるとともに,その診断,分類,治療などは客観的になつた。しかし同時に旧来の古典的定義分類の矛盾撞着が明白となつた。たとえば本質的には病態生理を異にし,てんかん性とはいえないけいれん発作,意識喪失発作がたんに症候の類似というだけて真性または症候性てんかんとされている。他方本質的にあるいは病態生理上てんかん性発作の一亜型といわねばならぬ自律神経発作や,感情発作が,けいれん,意識喪失を伴わぬため,てんかんとされず,実質性内臓疾患や逆に心因性発作や,いわゆる臓器神経症,精神身体症,はては精神病,精神病質などと誤診されるなど,てんかんの本質,定義,分類などあらためて考え改変すべき時期にきている4,6,39,40,45,46)。私は過去20年の間一般内科臨床医として,脳波の臨床診断学的応用の研究を目的にてんかんとくに痙攣や意識喪失発作以外のなんらかの身体的精神的発作性症候を示し,古くからてんかん代理症と称せられていた表1に示すごとき自律神経発作症,内臓発作症ないし感情意識障害発作症などの病態生理を追究してきた。
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