Japanese
English
原著
脳動脈攣縮の実験的研究—特に頭蓋内椎骨脳底動脈系について
Cerebral angiospasm: An experimental study of the intracranial vertehro-hasilar system
田中 輝彦
1
Teruhiko Tanaka
1
1東北大学医学部第二外科
12nd Department of Surgery, School of Medicine, Tohoku University
pp.554-565
発行日 1968年8月25日
Published Date 1968/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904527
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I.緒言
脳血管が能動的に収縮しうるか否かは,脳血管攣縮の有無とも関連して,古くから論議されてきた。頭蓋内脳動脈にはその解剖学的特徴から攣縮はちりえないとする意見23)や,仮に収縮しても軽度で攣縮とはいえないとする意見もある22)。その反面,臨床例では脳血管撮影法の普及とともに,クモ膜下出血などの場合に脳動脈攣縮を思わせる事態がしばしば経験されている5)8)13)14)15)25)31)。実験的観察では,Forbes10),Echlin6),Lende18)らが骨窓法により,脳軟膜血管は電気的あるいは機械的刺激によつて収縮すると述べたが,Rothenberg29)は同様の実験で収縮を認めず,脳軟膜血管は体血圧の変動に伴つて受動的に変化すると報告した。さらにMeyer21)は良性高血圧の実験で,脳軟膜血管は初め血圧の上昇とともに拡張し,約20秒後に収縮すると述べている。
これに反し,大脳動脈輪付近の大きな動脈についての研究結果はほぼ一致していて,機械的打撃や電気的刺激が著明な動脈収縮を起こすとされている4)6)7)11)18)25)26)。
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