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CASE
患者:80代、男性。
主訴:発熱、体動困難。
現病歴:入院5日前までは食事も全量摂取しており、会話も普段通りできていた。入院4日前より倦怠感が、3日前から食欲低下があったが、様子をみていた。しかし入院前日から発熱も出現、翌日には体動困難となったため救急搬送された。SARS-CoV-2抗原検査が陽性で、中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断し、レムデシビルにより入院治療されていた。しかし日中の傾眠傾向と食事摂取不良が悪化傾向であり、入院第14病日で当科へ紹介された。
その他の病歴:座位になる際に「立ちくらみ」あり。また理学療法士や看護師より、「トイレに行くと、一点を見つめて動作が止まってしまう」「眼球の上転や、けいれんのような手足の動きもあった」という追加の情報を得た。
併存症:Lewy小体型認知症、Parkinson病、下垂体性副腎不全、慢性腎臓病(ステージ3)、神経因性膀胱、側頭葉てんかん。
既往歴:心筋梗塞(経皮的冠動脈形成術後)、右放線冠ラクナ梗塞(明らかな後遺症なし)。
内服薬:ヒドロコルチゾン10 mg錠(4.5錠)毎食後/日、レベチラセタム500 mg錠(1.5錠)毎食後/日、ドロキシドパOD 100 mg錠(1錠)1回/日、ビソプロロール2.5 mg錠(1錠)1回/日、アトルバスタチン10 mg錠(1錠)1回/日、バイアスピリン100 mg錠(1錠)1回/日、ランソプラゾール15 mg錠(1錠)1回/日
入院前のADL:ほぼ自立。
アレルギー:薬剤、食物共になし。
〈紹介時の検査所見〉
意識レベル:Glasgow Coma Scale:E3V4M6(13点)
バイタルサイン:血圧140/82 mm Hg、心拍数80回/分・整、呼吸数12回/分、SpO2 97%(室内気)、体温37.3℃。
頭頸部:眼球結膜黄染なし。眼瞼結膜蒼白なし。甲状腺腫大なし・圧痛なし。項部硬直なし。
口腔内:う蝕なし。舌側面に咬傷なし。
胸部:心音に不整なし。過剰心音なし。心雑音を聴取せず。肺音 清。副雑音なし。
腹部:平坦・軟、圧痛なし。蠕動音の亢進・減弱なし。明らかな圧痛なし。
四肢:浮腫なし。関節の熱感や腫脹なし。
皮膚:Turgorの低下なし。
神経:四肢麻痺なし。
〈検査所見(早朝空腹時採血)〉
血算:WBC 9,200/μL、Hb 13.4 g/dL、MCV 94 fL、Plt 45×104/μL。
生化学:BUN 21.2 mg/dL、Cre 1.49 mg/dL、Na 138 mEq/L、K 4.1 mEq/L、Cl 98 mEq/L、AST 12 U/L、ALT 15 U/L、LDH 110 U/L、CK 80 U/L、血糖90 mg/dL、HbA1c 6.6%、CRP 0.50 mg/dL、Ca 9.2 mg/dL、Mg 2.0 mg/dL。
尿ケトン 陰性、SARS-CoV-2抗原検査 陰性、ビタミンB1 40 ng/mL(基準範囲>28 ng/mL)。
動脈血液ガス分析:pH 7.43、pCO2 40 Torr、pO2 260 Torr、HCO3- 26 mmol/L。
内分泌:コルチゾール11.7μg/dL、TSH 1.58 μU/mL(基準範囲0.2〜4.5μU/mL)、FT4 1.54 ng/dL(基準範囲0.7〜1.48 ng/dL)。
心電図:陳旧性の虚血性変化あり。
髄液所見:初圧13 cm H2O、無色透明で日光微塵なし。細胞数3個/μL、好中球:リンパ球=1:2、キサントクロミーなし。髄液中総蛋白40 mg/dL(基準範囲10〜52.6 mg/dL)、髄液糖定性58 mg/dL、LD髄液<25 U/L、CK髄液<4 U/L、髄液ADA<2.0 U/L、墨汁染色 陰性、髄液マルチプレックスPCR検査 陰性、髄液結核菌PCR 陰性。
脳波検査:明らかなてんかん波なし。
頭部MRI検査:特記すべき所見なし。
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