特集 —え、ウソ!実は◯◯だった!?—“コモンディジーズ”の診断ピットフォール
㉒若年女性の腹痛—入院中発症なので妊娠の可能性は100%ありません!?
河東 堤子
1
1湘南鎌倉総合病院 血液内科
pp.296-297
発行日 2024年3月15日
Published Date 2024/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204716
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Case
患者:21歳、女性
主訴:腹痛、嘔吐
既往歴:適応反応症、イレウス(腹部手術歴なし)
内服:ロラゼパム、ブロチゾラム(不眠時頓用)
嗜好歴:飲酒・喫煙ともになし
現病歴:適応反応症のため、3カ月前より精神科入院中。5日前・3日前に悪心症状があり、メトクロプラミドを使用されていた。当日も朝から悪心があり、朝食後に計3回の嘔吐があった。徐々に悪心が増悪し、心窩部痛もみられ始めたが、その後、疼痛部位は臍下部へ移動した。腹痛は間欠痛で、嘔吐により若干の軽快がみられた。症状が改善せず、「急性腹症」の疑いで精査のため当院を紹介受診した。精神科からの紹介状には「急性虫垂炎、消化性潰瘍、腸閉塞、婦人科疾患の可能性がある」「(右下腹部圧痛を呈していることから)特に虫垂炎の除外を」「入院中の患者であるため、妊娠の可能性は100%ない」と記載されていた。
当院受診時身体所見:腹部平坦・軟、右下腹部〜臍下部に圧痛あり。
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