特集 実地医家が楽しく学ぶ 「熱」「炎症」、そして「免疫」—街場の免疫学・炎症学
【Ⅱ章:大きなテーマで切る!】“横断屋”が織りなす思考の横糸—興味深いテーマで理解をつなげる
❹てんかんと炎症・免疫
早川 格
1
1国立成育医療研究センター 神経内科
キーワード:
免疫性てんかん
,
神経炎症
,
抗NMDA受容体脳炎
,
Rasmussen脳炎
,
外傷後てんかん
Keyword:
免疫性てんかん
,
神経炎症
,
抗NMDA受容体脳炎
,
Rasmussen脳炎
,
外傷後てんかん
pp.83-87
発行日 2022年1月15日
Published Date 2022/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203558
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Case
難治頻回部分発作重積型急性脳炎(AERRPS)の一例
患者:発症時2歳、現在6歳の女児
既往歴・家族歴:なし
現病歴:生来健康で発達正常だった。2歳時に1週間の発熱があり、対症療法で解熱した。解熱した翌朝から傾眠傾向となり、夕方に左顔面の間代発作が群発した。救急外来到着後に全身性強直間代発作が重積し、抗てんかん薬5剤で停止せず挿管された。頭部CTと髄液検査は正常だった。チオペンタールナトリウム6mg/kg/時とケタミン 24mg/kg/日を含む10種類の抗てんかん薬、ステロイドパルス療法、免疫グロブリン静注療法(IVIG)、単純血漿交換、ケトン食療法を使用したが焦点発作が止まらず、臨床発作は入院7日目、脳波上の発作は入院70日目に停止した。頭部MRIは、入院4日目は両側海馬のDWI高信号のみだったが、入院40日目には大脳皮質・基底核・視床・海馬・小脳の高度な萎縮を呈した。治療経過で急性心不全・急性腎不全・急性肝障害・深部静脈血栓症・細菌性腹膜炎を合併した。入院から6カ月後に、追視なし・頸定なし、気管切開・終日人工呼吸器装着、経鼻胃管栄養の状態で自宅退院した。発症3年後、神経学的には不変で、数分間の焦点発作が10回/日ほどある。
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