【臨床小説】後悔しない医者|あの日できなかった決断・第21話
時を戻してもらった医者
國松 淳和
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1医療法人社団永生会 南多摩病院 総合内科・膠原病内科
pp.1582-1587
発行日 2021年12月15日
Published Date 2021/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203531
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前回までのあらすじ 今月のナゾ
患者は80歳・女性、卵巣がんの末期で腹膜播種を伴い、アルコール性肝硬変や種々の合併症で入退院を繰り返している。今回の入院契機は蜂窩織炎で、G群溶血性レンサ球菌による菌血症をきたしていた。抗菌薬治療は奏効しつつあったが、筧と五明は黒野が気にしていたDダイマーの値を確認し、「肺血栓塞栓症」のリスクに思い至った。ほどなく抗凝固療法を開始し、事なきを得たのだった。一方、宮川は「生活習慣病」と「高齢者医療」に対する持論を爆発させ、栗塚を苦笑いさせていたが…。
DNAR。それを希望する患者に対して、医師にできることはないのだろうか?積極的な治療ができない。しかし、まだできることはある。今回で内科ローテーションを終える五明と宮川は、あまりに対照的ではあるが、その若さがゆえに、ベテランがためらいがちなまっすぐさで、それぞれのできること/やりたいことに向かっていく…。
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