55歳からの家庭医療 Season 2|明日から地域で働く技術とエビデンス・28
—家庭医療における「治療学」素描❺(終章)—ACUPUNCTURE and MASSAGE
藤沼 康樹
1
1医療福祉生協連 家庭医療学開発センター
pp.1542-1544
発行日 2019年12月15日
Published Date 2019/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202427
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第24回(本年8月号)から家庭医療における「治療学」素描を続けてきましたが、最後は相補代替医療、特に「鍼」と「マッサージ」を取り上げたいと思います。こうした施術を自分で行っているわけではないのですが、ワークショップに参加し自身が鍼治療を受けた経験があり、また鍼灸師の方との私的・公的交流もあって、非常に興味をもっている領域です。
海外では、家庭医療の診療と鍼治療を有機的に統合する試みが注目されています1)。ただ日本では、おそらく、現在の診療報酬体系と外来診療の構造から、これらを統合するにはまだまだいくつかの壁があると感じます。また、地域の鍼灸院や医療マッサージを提供する施設との連携に関しては、まだシステム自体があまり整っていないと感じています。特に都市部では、鍼灸施設はかなり多く、どこにどんな質の専門家がいるのか、見えそうで見えないというのが実際のところです。医療マッサージに関しても、訪問マッサージの指示書をやりとりするといった在宅診療の文脈での関わりはありますが、一般の外来診療でマッサージが必要というふうに判断しても、では、どこに行ってもらえばよいのかということについては、よいガイドがない現状があります。むろん、こうした状況については地域差があるでしょう。
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