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特集 1型糖尿病のトータルケア
Ⅳ.小児・ヤングを支える
1型ヤングがフルマラソンに挑む
Young person with Type 1 diabetes challenge full marathon
南 昌江
1
1南昌江内科クリニック
キーワード:
①QOL
,
②受容
,
③自立
Keyword:
①QOL
,
②受容
,
③自立
pp.227-229
発行日 2010年3月15日
Published Date 2010/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101046
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1921年のインスリンの発見で,不治の病とされていた1型糖尿病は生存可能な病となった.しかし,当時の医療ではまだまだ健常人と同じような生活をすることは困難であった.この20~30年でインスリン製剤,デバイス,血糖測定器などの1型糖尿病を取り巻く医療は目覚ましく進歩し,1型糖尿病患者のQOLは明らかに改善されてきた.とくに,低血糖が心配な運動においては,血糖自己測定によりインスリン量を調整し,補食を取り入れることによって血糖値をコントロールしながら運動強度の強いスポーツや長時間のスポーツも可能な時代になった.
そうはいっても,変動する血糖値をうまくコントロールしながら生活していくことは容易ではない.多くの1型糖尿病患者は,突然の病気の発症に当初は否認し,「なぜ自分が?」という怒りとともに抑うつなど将来に対する不安をもちながら生活している.治療の経過とともに病気を理解し受け入れ,次第に糖尿病に対し適応できるようになってくる.病気の受け入れには,個人の性格や周囲の環境・理解により個人差があるが,ここがその後の人生に影響すると考えられる.とくに小児・思春期に発症した場合は,その後の患者の自立に家族や医療者,医療環境・学校環境が大きく影響してくる.インスリン注射を行いながらも普通の生活ができる,健康な人と変わらない生活ができることが体験できると,糖尿病というハンディがむしろバネになり,主体性をもって人生をよりよく生きていこうという新たな目的意識をもつことも可能である.
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