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積極的に進めたい禁煙による糖尿病予防
小谷 和彦
1
1鳥取大学医学部健康政策医学
pp.197
発行日 2008年3月15日
Published Date 2008/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100799
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喫煙が糖尿病の発生や進展に関与するという報告は散見されるが,意外にも系統的総説やメタ解析は十分になされてきていなかった.また,危険因子としての喫煙の扱いは,循環器疾患や癌の診療に比べ,糖尿病診療では一部の熱心な保健医療従事者を除いて過小評価される傾向にあるのではないかとも言われている.つい最近,2型糖尿病の発症に対する喫煙(非受動喫煙)の影響に関するシステマッティックレビューが報告されたので紹介する.
この検討では,非糖尿病者において研究開始時に喫煙の状況が調査された前向きコホート研究が対象となった.検索を経て25報告が抽出され,糖尿病発症に対する,喫煙の相対危険は1.44(95%信頼区間:1.31-1.58)と高値であった.また,≧20本/日の喫煙本数の場合には,それ未満の場合や過去喫煙の場合よりも相対危険は高かった(量反応関係).以上より,2型糖尿病の発症に対する喫煙の影響は,もはや疑念の余地はないと結論された.
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