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糖尿病を持ちながら生きていくことは決して簡単なことではありません.患者さんが療養をしていくうえで持っておくべき知識をみても,他の疾患に比べてとても多くのことを修得する必要があります.また,人生の他の重要なこと―例えば,学業であったり,仕事であったり,家庭生活や社会的な付き合いなど―と療養をうまく調和させていかねばなりません.また,心の状態についても充実して希望に満ちた生活を送ることは容易ではありません.これらのことがらがすべて糖尿病の療養状態に影響を及ぼします.
療養がうまくいかなくなった時,これらのどこかに問題が出てきたとき,私たちにはそれを乗り越えるための援助をする必要があります.そのとき私たちは気づくのです―そのような援助の仕方について自分たちが十分学習や訓練をしてこなかったことに.そしてそのための心理的支援法について知る必要があることに.
ここに紹介する言葉は,一つの患者の言葉を除いてすべてメンタルヘルスの専門家の臨床経験に基づくものです.Alan Jacobson博士はフロイトの精神分析を身につけておられる精神科医です.Barbara Anderson博士は認知行動療法を駆使しておられる行動心理学者です.お二人ともアメリカで糖尿病の領域に精神医学あるいは心理学の方法論を取り入れられたパイオニアです.河合隼雄先生はご高名すぎて紹介もはばかられるところですが,わが国の誇るユング派臨床心理学者です.
今回のkey sentenceは,筆者が直接お話をお伺いしたものの中から厳選しました.療養がうまくできない患者さんと接するとき,あるいは一緒に問題を解決していこうとするとき,これらの言葉がきっと力強い支えになると信じております.
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