特集 歯科口腔外科との連携
口腔解剖学―口腔の一般構造と歯の発達・変化
阿部 伸一
1
,
井出 吉信
1
1東京歯科大学解剖学講座
キーワード:
口腔
,
咀嚼
,
歯
,
表情筋
,
舌
Keyword:
口腔
,
咀嚼
,
歯
,
表情筋
,
舌
pp.10-13
発行日 2011年1月15日
Published Date 2011/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102069
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口腔の解剖
■基本構造
口腔は消化管の入り口であり,食物が最初に通過するところである.消化管の内面は,粘膜(粘膜上皮,粘膜固有層)に覆われ,その表面は腺の分泌物によって湿潤している.粘膜表層に位置し,食塊と接する粘膜上皮の形態は,部位により異なる.硬いものが通過し機械的刺激を受けやすい口腔,食道,肛門は,上皮細胞が何層にも重なった重層扁平上皮で覆われ,物理的,化学的外部侵襲から下層を保護している.消化液の分泌と栄養の吸収を行う胃・腸では,単層円柱上皮を呈する.
口腔は,前方を口唇(上唇・下唇),側方を頰,上方を口蓋(上前方は硬口蓋,上後方は軟口蓋),下方を口腔底によって囲まれ,歯列弓を境に固有口腔と口腔前庭とに分けられる(図1).固有口腔は,上・下の歯列弓に囲まれた広い領域で,舌が大きな割合を占めている.一方,口腔前庭は歯列弓と口唇・頰との間の狭い間隙である.
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