病院めぐり
神鋼病院泌尿器科
山田 裕二
pp.534
発行日 1998年6月20日
Published Date 1998/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902367
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神戸製鋼所は明治38年9月に創業を開始しましたが,自社内には医療施設を有しておらず,社員や家族にとっては何かと不都合であるとして,大正 4年2月,山手地区に木造平屋建ての診療施設が開設されました。この「医療所」は医師1名,助手2名でスタートしたとのことですが,残念なことに詳しい記録は残っていません。その後,本社庶務課に医務部が設立され,初代医務部長には海軍から原隼人軍医少将が招聘されました。戦火が激しくなった昭和18年8月には灘区青谷町に神鋼病院本院が完成しました(ベッド数180床,診療科は内科,小児科,外科,歯科,皮膚泌尿器科,耳鼻科)。戦時中の物資に乏しい状況下での建設でしたが,この建物は威風堂々として,市民にも青谷病院として親しまれたそうです。この病院は昭和20年の神戸大空襲で焼失しましたが,玄関前のスロープ付近が今も王子動物園内に残っており,往時が偲ばれます。一方,昭和19年1月には垂水区に神鋼病院明石分院(のちの玉津結核療養所,厚生省化学研究所研究棟も併設),長府,名古屋,中津などの工場にも30〜40床の病院が次々と設置されていきました。
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