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超高齢化社会を迎えようとしているわが国において,高齢者医療および介護が医療・社会福祉政策の最重要課題の1つになっている。一方,高齢者の立場から考えると,子どもたちの世話にならず自立し,かつQOLを維持して生活することが,最も望ましい老後の過ごし方であろう。
このような社会的および医学的な大きなテーマである高齢者医療において,近年注目されてきたのが加齢男性性腺機能低下症候群(late-onset hypogonadism:LOH症候群)である。女性に比して,高齢男性に対する医療対策は遅れており,男女の平均寿命の差を大きく広げてきた。このような危機感がWHOを後押しし,1998年にAging Male研究の国際学会であるISSAM(International Society for the Study of the Aging Male)が設立され,“Healthy aging for men”が国際的な大きな流れになってきた。LOH症候群はアンドロゲンの部分欠乏に因る症候群であり,“A clinical and biochemical syndrome associated with advancing age and characterized by typical symptoms and a deficiency in serum testosterone levels. It may result in significant detriment in the quality of life and adversely affect the function of multiple organ systems”と定義されている。この定義のキーワードはアンドロゲン低下,加齢,QOL低下,多臓器機能障害であり,加齢によるアンドロゲン低下に起因する臓器機能低下をアンドロゲン補充により予防し,QOLの高い生活を維持させようという“Healthy aging for men”の精神が根底にある。
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