小さな工夫
副腎静脈撮影におけるcatheterizationの工夫
中田 瑛浩
1
,
柳 重行
1
1富山医科薬科大学医学部泌尿器科学教室
pp.1212-1213
発行日 1981年12月20日
Published Date 1981/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203268
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副腎のinner vasculatureを明瞭に造影し,周辺臓器との関係を明らかにし,副腎静脈血中のホルモン検索も同時にできるので,副腎静脈撮影は,今日,依然として施行されている。右副腎静脈は0.5〜1cmと短く,内径も0.4cmと狭小で,肝静脈と腎静脈との間の高さで下大静脈の後側壁に開口する。したがつて,J字型に屈曲したカテーテルをセルディンガーの手技にて中心静脈に挿入することをその撮影の第一歩とする。しかし,肝静脈と右副腎静脈が時に交通することがあるので(第1図),右副腎静脈のカニュレーションが失敗しても,肝静脈への造影剤注入を行ない,右副腎が描出される可能性を求めるべきである。著者はこの方法で右副腎の撮影に時に成功している1〜3)。左副腎静脈は長軸1.5〜2.0cm,内径0.4cm以上で,左横隔膜静脈からの血流を受け,左腎静脈と合流する。その部位は下大静脈から3.1cmとされている。したがつて,左副腎静脈撮影には1カ所が大きく屈曲し,その先端が小さく逆に曲つたカテーテルを用意すればよいわけであるが,実際には左副腎静脈の腎静脈への開口部がdistalにありすぎて,カテーテルの先端が届かなかつたり,届いても正確な副腎静脈への挿入が不能であつたりすることが少なくない。
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