文献抄録
TURBt,TURPを同時施行時の前立腺部への腫瘍発生の影響
pp.1046
発行日 1981年11月20日
Published Date 1981/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203235
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従来より膀胱移行上皮性腫瘍と前立腺部を同時に経尿道的に切除すると,膀胱腫瘍細胞の移植から尿道前立腺部に腫瘍発生頻度が高いと臨床的に言われている。著者らはこの事実の有無を確認するために,膀胱腫瘍と前立腺を同時に経尿道的に切除した137例(A群)と同期間に膀胱腫瘍のみを切除した150例(B群)について比較検討した。A群,B群共に術後1年までは3ヵ月毎に,2年目は6ヵ月毎,3年以降は年に1回の内視鏡検査により腫瘍再発を検索した.A群の膀胱腫瘍と前立腺の切除を同時に施行した症例のうち103例はpoor riskのため2回のTURは無理と考えられ,25例は膀胱壁または頸部に腫瘍が存在して前立腺のTURが必要と思われた症例であつた。A群の平均年齢71歳,B群は60歳で,術後の経過観察期間の平均月数はA群69ヵ月,B群は96ヵ月である。A群,B群の膀胱腫瘍のgradeはPapillom 12.4%,13.3%,Ⅰ 24.8%,25.4%,Ⅱ 25.5%,23.3%,Ⅲ 21.9%,22.0%,Ⅳ 15.4%,16.0%でほぼ類似のgradeである。膀胱腫瘍の再発率はA群56.2%,B群は61.3%で,tumor freeの平均期間はA群28ヵ月,B群は31ヵ月であつた。
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