文献抄録
小児における完成重複尿管の逆流について
pp.127
発行日 1979年2月20日
Published Date 1979/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202691
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完成重複尿管の際にはしばしば尿管逆流をみるが,その95%は下方腎への逆流であり,上方腎の逆流をみることは稀である。学者の中には重複尿管の逆流は速やかにその防止手術を行なうべきだと主張する人もいるが,必ずしも意見の一致をみていないので,著者らは1963年より1976年の間に経験した59例の小児の重複尿管逆流症例の臨床経過を観察報告している。
発生学的にみると,完全重複尿管においてはウオルフ氏管から発生する2つの尿管芽のうち尾部尿管は腎下極に,頭部尿管は上極に入るが,尾部尿管が先に膀胱に吸収されるためにその尿管口の位置が上方かつ側方に寄るようになり,頭部尿管は尾部尿管口と射精管口の間に位置するようになる。このように腎下極尿管は側方に位置しかつ粘膜下トンネルが短いので逆流がおこりやすいと言われている。またMackieらによると,完全重複尿管では尿管口の位置,形状の異常が大きい程,腎発育異常も強いので,かかる患者では逆流や感染の結果から腎杯形態の変化がくるのではないとしている。Keatsらも完全重複尿管の逆流防止が成功して尿管拡張は好転しても腎杯の変化は改善されないとしている。
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