文献抄録
Vascular およびAvascular 腎細胞癌の臨床的比較
pp.558
発行日 1976年7月20日
Published Date 1976/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202183
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著者らは72例の腎細胞癌について,血管の乏しい腎乳頭状癌と血管豊富な所謂腎細胞癌の臨床観察の相違について比較検討を行なつた。症例としては1968年より1972年までに腎摘除術を施行した72症例を対象とし,すべて術後3年以上,56例は5年以上の経過をみている。症例はすべて正規の泌尿器科的検査をして,遠隔転移の認められた症例は統計より除外した。腎の選択動脈撮影の結果から症例を2群に分け,1群は腫瘍の栄養血管豊富な群とし,2群は血行の乏しいか,または血管のほとんど認められない群とした。第1群は53例,第2群は19例であつた。これらはすべて腎摘術をして術後の放射線照射は行なわず予後を観察した。腫瘍のstageをRobinsonらの分類に従つて分けると,stage Ⅰ-29列,stage Ⅱ-14例,stage Ⅲ-29例となる。第1群のX線上Vascularな所見の腫瘍では摘出腎の肉眼所見は孤立性腫瘍で白ないし黄色の部分と一部に壊死領域が見られ,Avas-cularの第2群では腫瘍組織の大部分が壊死と嚢胞状の変性を呈している。このものでは嚢胞内は血性壊死組織で満たされ,腫瘍細胞は末梢部分に見られ嚢胞被膜は肥厚している。
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